「ランボーはなぜ詩を棄てたのか」発刊

ランボーはなぜ詩を棄てたのか  奥本館長による新訳とランボー伝の第一弾。

 なぜ、ランボーは詩を棄てたのか?
 その答えは、その詩で最も難解とされる散文詩『イリュミナシオン』にありました。

  インターナショナル新書
  ※6月7日発刊 (定価900円+税)

館長の部屋(ブログ) 2021

11月7日 ~ ありのみ ~
Hoppo  ファーブル会スタッフのKさんから”有りの実”をいただいた。
 彼の故郷の特産品”新高梨”である。
 新高と言えば、台湾領有の初め、明治天皇が一番の高山に命名したのは”新高山(3952m)”。
 その次に高いのが”次高山(3886m)”で、1973年に”サラマオ”という、かつての蛮地から眺めたことがある。
 サラマオは中国名で”梨山”と変えられていたのだが、アケボノアゲハやホッポアゲハが採れた。
 ホッポは台湾の地名”北埔”の日本語読み。
 1907年の「北埔事件」では、日本の警部補、渡辺亀作が反乱台湾人に殺されている。
 渡辺は虫好きで、松村松年に標本を提供していて、その一つが”ワタナベアゲハ”。
 そういえば若い頃、渡辺の孫にフランス語を教えたのだった。
 シャリシャリと、ありのみを齧りながら、はるけき国の蝶たちに思いを馳せた。
9月11日 ~ スズムシの声 ~
Meloimorpha  夏の暑い頃、誰もいない昆虫館に来ると、一階の薄暗い部屋でスズムシがしきりに鳴いていた。
 これが家で聞けたらいいな、と思って、とりあえず、仕事をしている昆虫館三階の机の上に持ってくると、シーンとして、全く声を出さない。
 明るすぎるのかもしれない。
 キャベツやら、昆虫ゼリーやら、今の便利な餌を与えていたのだけれど、そのうちに、黙ったまま死んでしまった。
 カゴの中を覗いて、「しまった」と思った。
 死んですぐ、体が柔らかいうちに展翅、展足をして、標本にしておけばよかったと後悔したのである。
 虫屋はよろずにまめでなければならない。
 そういえば、今年はアオマツムシが鳴かないようである。
 この虫は増えたり減ったり忙しい。
6月19日 ~ キオビツチバチ ~
Fabre Vol.3  昆虫館正面の、クヌギの木の下の暗がりに、中型のハチが低くブンブン飛び回っている。
 その数約10数匹。
 人によっては刺されないか、と怖がるかもしれない。
 しかし、ほっそりした体型と、長い触角からして、どれも雄のハチのようだ。だから、刺さない。
 体の地色には黒漆を塗ったような光沢があり、腹部には黄色い斑紋というか、帯がある。
 キオビツチバチであろう。
 連中は、いったい何をしているのか。
 こういう時の雄の行動は、雌探しに決まっている──
 というのは、こっちがファーブルの『昆虫記』を読んでいるからで、ファーブル自身は、
 ハチのこの行動を解明するのに、ずいぶん時間と労力をかけなければならなかった。
 というわけで、ハチのこの行動に関しては、『昆虫記』の「ツチバチの章」をお読みください。
5月9日 ~ カマキリの子 ~
カマキリ  今日、暑いと思ったら、気温は27度にもなるそうだ。
 昆虫館に来てふと見ると、机の上にカマキリの初齢幼虫がいる。
 えっと思って、よく見わたすと、あそこにも、ここにも。
 スピーカーのそばに、オオカマキリの卵塊が置いてある。
 誰かが冬のうちに、ひょいと置いたのが、今日孵ったのだ。
 どうしよう、と思ったが、すばしっこくて、潰さずに捕まえるのは大変である。
 「吸虫管でもあればなあ」と思ったが、用事があって、とうとうそのままにして帰ってきた。
 せめて外の植え込みにでも放してやったら、自己責任で生きていけたのにと反省した。
4月21日 ~ ハゴロモジャスミン ~
ジャスミン  昆虫館の入り口、階段の角のところに垂れ下がるように生えている蔓性の植物がある。
 もともと私が鉢植えで買ってきたもので、名前は確かハゴロモジャスミンといった。
 細かい蕾は葡萄色、花が咲くと中は白である。
 色もさることながら、ジャスミンの第一の特徴は芳香だろう。
 三保松原の羽衣伝説では、漁師から返してもらった羽衣を天女がまとって舞い始めると、
 どこからともなく笛や太鼓の音が聞こえ、芳しい香りが立ち込めたという。
 この近所にも植えられていて、どこのも、同じ日に花が咲き出すのには感心する。
 今年は、水仙からはじまって、ムラサキケマン、アシタバ、サンショウなどが生き生きと伸びている。
 大きく枝を広げていたクヌギの幹を途中から伐ったために、陽当たり、風通しがよくなったかららしい。
 植物は敏感である。
3月21日 ~ へらくれす ~
カブちゃん  今年はじめてのイベントは、佐藤敬さんの飼育教室。ヘラクレスオオカブト編。
 今日は雨が窓を叩き、風が吹き付けるという、春の嵐ともいうべき天候だったが、
 キャンセルもなく、コロナのことを慮って、過密にならぬよう、換気には気をつけた。
 佐藤さんは、大量の腐植土を入れた、ヘラクレスの幼虫の飼育用衣装箱を持って現れ、
 例によって熱血授業を展開してくださった。
 その熱さゆえか、子供たちははじめからおわりまで、全集中して話に聞き入っていた。
 それと、教室の参加者の一人として、久しぶりにカブトムシゆかりさんが来てくれた。
 彼女の虫愛は相変わらずのようで安心した。
 一部スタッフのテンションも上がったようである。
1月31日 ~ 枯葉よ ~
クヌギ  昨年、夏にクヌギの木を幹の途中3メートルのところで伐った。
 落ち葉問題で近所に文句を言われるし、巨大台風が来て倒れたりしたら大変だから、昆虫館改修のついでに重機を使って伐ってもらったのである。
 こんなことして大丈夫かなあ、枯れてしまわないかなあ、と心配していたら、伐ったところからバッと盛大に芽を吹いた。
 さすがにクヌギは丈夫な樹である。
 年が明けても枯葉が樹にしがみついている。
 これが舞い散るとまた近所から苦情が来るから、今日また小枝を下ろした。
 今度は鉈で叩き落とし、細かく折ってゴミ袋に詰めるくらいで済む。
 たまたま今日は、昆虫館前の道路が改修工事で、本舗装とか言ってアスファルト舗装をしている。
 緑の蛍光色のベストを着たおじさんたちが通行人の整理をしてくれるから、こっちは安心して作業ができた。
 今年もめでたい。


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