館長あいさつ
『昆虫記』には実にさまざまな虫たちが登場します。
それらは主に、乾燥した地中海世界の虫であって、日本には産しないものが多いのです。 私自身、子供の時に『昆虫記』を読んで、「実物は一体、どんな感じなのだろう」と、とても知りたく思いました。
それで、後になって『昆虫記』に登場する虫の標本を一所懸命集めました。それと共に『昆虫記』の原書や、ファーブルの他の著作、それからファーブル以外のフランス人の書いた虫の本、更にフランスの民具などまで蒐(あつ)めるようになりました。
そんなことをしているうちに人の輪も広がり、ファーブルや『昆虫記』を愛する人々の気持ちが集まってできたのがこの昆虫館です。
これまでに蒐めた物や分かったことを、少しずつ皆さんに御覧いただこうと思います。また地下には、ファーブルの生まれた家を再現しました。扉を開ければ、そこは十九世紀中頃の、南フランスの田舎の家です。どうぞ、ごゆっくりお過ごし下さい。この場所が、皆さんとファーブルや昆虫との縁を深めるのに少しでも役立てば幸いです。
奥本 大三郎(おくもとだいさぶろう)